施主に教えられることは多い。
決断の連続である家づくりの中で、次第にあらわになる価値観や人生観。
そこに触れると、「よし!」と嬉しくなってしまう。
回を重ねるごとにはっきりしてくる住まい手の姿。
そうすると話は自然と本質的なところに近づいていく。
こうなればしめたものである。
なぜなら私は、相手になったつもりで設計したいと思っているからだ。
相手の思想と、自分の思想とを混ぜ合わせながら、よりよいものをつくりたい。
そうした対話には、発見があり、思い込みに気づかされ、ひらめきが生まれる。
思いもよらない方向に話が広がることもある。
空間の活かし方だって、こちらが想定していなかった暮らし方を見せてもらえることがある。
そのたびに、いろんな可能性を教えられる。
人生の多様性や豊かさに気づかせてくれるのは、いつだって他者なのだ。
